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2023-12-16 (Sat)
コロナ渦を経て、小さなサロンでクリスマス会のようなイベントをするのが難しくなりました。
そこで、今年は、思い切って、ホールを借りて、クリスマス弾き合い会をしました。
会場は、なでしこ芸術文化センタ-、西神中央ホールです。
昨年10月にできたばかりの、とってもきれいな施設で、ホールもすてきな空間です。

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ピアノはヤマハのフルコン CFX で、これが、驚くほど弾きやすいピアノなんです。
ヤマハらしい素直な響きが広いホールに心地よく、こういう空間で自由に演奏できる時間は本当に貴重です。

今回は、ひと枠13分の持ち時間を練習タイムと発表タイムに振り分けてお使いいたたく方式で実施しました。
ひとり1個オーナメント持参で、ちっちゃいツリーも飾りました。

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大人のピアノの会は、それぞれが気持ちよく演奏し、みんながあたたかい心でそれぞれの演奏を受け入れ、共有する時間を持てるるのが何よりステキなことです。

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サンタ帽とトナカイの角の連弾ペア、シックな、あるいはエレガントな大人ドレス、ラフな普段着、それぞれの持ち味が衣装にも出ていて、それも楽しい。
休憩時間には可愛いお人形が舞台の上をトコトコ歩いてクリスマスムードを盛り上げてくれました(持ってきてくれてありがとう!)。
そして、大人も音楽でつながってちょっとはしゃいでも良いよね!と、鈴やタンパリンも鳴らしながら「ぐるぐるピアノ」も参加者みんなでやりました。

本当に楽しい時間を過ごすことができました。

ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。




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2023-10-30 (Mon)
今日は、専門家の方に、スピネットの整調に来ていただきました。
季候の良い時期にメンテナンスを、というのは、デリケートなスピネットなら、なおさらです。

メンテナンスの日は、半分は、チェンバロ整調教室、といった様相です。
ほんとうに丁寧に、分かりやすく教えていただけるので、ありがたいです。
ピアノと違って、この楽器は日常的に自分で調弦もしますし、本来、メンテナンスもできる範囲で自分でやっていく、という楽器です。
少しずつ、できることを増やしていけるように、そして、楽器の調子を自分でちゃんとキャッチできるように、楽器への理解を深めるためのとても大切な機会になっています。

鍵盤の「かたさ」の違いと、鍵盤の「遊び」のばらつきが気になっていました。
でも、まず、指摘があったのは「残響」です。

ジャックはダンパーフエルトで弦に乗っかっていて、いわば、「ぶら下がり」の状態になっています。
鍵盤の表面とジャックの間には隙間があるはずなのですが、ジャックの長さが長いと、ジャックの下側が鍵盤につっかえるようになります。すると、ダンパーフエルトがしっかり弦に当たらないでわずかに浮いている状態になるので、弦の音がきちんと止まらず、残響が長くなってしまいます。そのとき、鍵盤の「遊び」は少なくなってしまっています。

 ダンパー

弦にジャックがちゃんと「ぶら下がり」になっているかどうかは、弦を直接、棒などでちょっと押し下げてみると分かります。弦を下げているのに、ダンパーフエルトが一緒に動かなければ、ジャックが下でつっかえている証拠です。
ジャックの長さを短く調節すると、鍵盤の「遊び」が大きくなり、残響も起こらなくなります。

IMG_6767_R.jpeg 鍵盤の遊びが揃う

まず、調律。調弦が正しくない状態で他を調節しても、調弦すると狂うので、まずはきちんと調弦が最初にやることです。
つぎに、鍵盤の「かたさ」、つまり、爪が弦をはじくときのかたさ、なのですが、それを、爪の出し方や削り具合でそろえます。
そのあと、残響と鍵盤の遊びを揃えます。
順番があるんですね。順番を間違えると、先にやったことを、またやり直さなくてはならなくなります。
昔、おばあちゃんに教わった、掃除の順番と似ている気がします。

気温が下がってきて、ジャックの表面に塗ってあるグリースのようなもの(何が付けてあるのかは不明)が固くなって、ジャックの上下がほんの少しスムーズではないようすが見られたので、ジャックを1本1本丁寧にぬぐってくださいました。演奏しているときには分からないような変化も、こうやって気づいたときに手当てしておくと、影響を抑えることができるのだそうです。

1音だけ、初めて、プレクトラム(爪)の交換もしてくださいました。
何度も弦をはじいていると、だんだんと爪が反って来るのだそうです。
小さな変化を見逃さずに、そのときそのときに、ひとつずつ手当てをしていく、という、楽器との繊細な付き合い方。
ちょっとした手当で、鍵盤の感触や音が大きく変化する面白さ。
教えていただいて、自分でもやってみて、だんだんじわじわと、また、楽しくなってきています。

丁寧に整えていただけました。
指に伝わる感触や身体に伝わってくる音は、小さな楽器でも、本物ならではです。
どうぞ、愛らしいスピネットを演奏してみてください。
ご予約をお待ちいたしております。

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2023-10-26 (Thu)
季候のよい時期になったので、ピアノのメンテナンスを行いました。
調律と整調、2台で4時間半、たっぷりかけて、丁寧にみていただけました。

ウォルナットのC2CPは、本当に安定していて、狂いが少ないとのこと。
先日も、公演前の指ならしに弾いてくださったピアニストの方に、「よい状態のピアノで、いい音で、良い練習ができました。」と、言っていただけたC2CPです。きっと、楽器として、安定したよい時期なのでしょう。弾いて気に入ってくださる方が多くて、嬉しく思っています。

酷暑の夏場、サロンの防音室内の温度・湿度はできるだけ保つようにはしていたのですが、それでも、楽器には厳しい夏で、C3Xはちょっと気になるところが出てきたため、夏にいちど、調律をしていただきました。それからまだあまり経っていないのですが、やはり、ピアノのメンテナンスは季候の良い時期にしておきたい、ということで、今回も、2台ともみていただくことにしました。

メカニックな部分は、使っていると、どうしても緩んでくるものです。例えば、「ペダルのあそび」。少し大きくなっていたということで、適切な量に調整してくださいました。

いつもの3弦合わせやハンマーの間隔、ハンマードロップ、などの調節。
正しい位置関係にあるからこそ、弦とハンマーがかみ合って良いタッチ、よい音になる、ということで、ハンマーの並びの美しさや、ハンマーに付いた弦の3本の跡がまっすぐに皆同じ位置に付いている美しさ、よく調節された楽器は、部分部分も美しいのだということが分かります。

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そして、今回のテーマのひとつは、ハンマーの動きのなめらかさの加減です。
ハンマーを支えている長い棒を「ハンマーシャンク」といいます。付け根が関節のようになっていて、ハンマーが動きます。

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その、関節部分をとめているピンを「シャンクフリンジセンターピン」と呼ぶのですが、周りに赤いフエルトがあって、このフエルトが膨らんでいると、関節の動きがかたくなり、鍵盤が重い、と感じてしまいます。
この関節の動きが全て揃っていると、持ち上げたハンマーから手を離したときに、パタン、と、揃って落ちていきます。

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ところが、ちょっと動きが遅れるハンマーがあれば、フエルトとピンの滑りがわずかに悪いのです。
そこに、特別な液を注入して、動きを整えていきます。

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調整後には、鍵盤のどの位置でも、隣り合ういくつかのハンマーが、パタン、と同じ速さで落っこちていくのが見事です。

この、フリンジ(関節部分)の抵抗が、ありすぎると鍵盤が重いのですが、なさ過ぎても、つまり、スルスル動くのが良い、というわけでもないそうで、適度な抵抗(3gに整える、とのこと)が必要なのだそうです。
写真のようにぶら下げて振ったときに、3往復ぐらいで止まるのが具合のいい抵抗、とのことです。

shank flange

そういうことが、打鍵のニュアンスを伝えることに繋がってくるんですねえ。

さらに、こちらはアクションの裏側。グランドピアノのアクションは「筬(おさ)」という塊になっていて、ごっそり引っ張り出すことができます。その、裏側です。

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丸いボタンのような金具が飛び出しています。7つあります。
筬(おさ)は、この金具と奥と手前との3カ所で、棚板の上に乗っかっていて、他の部分は浮いています。
湿気や気温の違いでピアノは伸びたり縮んだりするので、棚板が下がっていると、この金具がきちんと棚板に触れていなくて隙間ができることがあります。この金具の出っ張り具合をアクションの上側に出ている「ベッティングスクリュー」で調節します。ダンパーペダルを踏みながら、コンコン叩いてボタンが棚板に当たる音がしない位置に調節するのだそうです。

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鍵盤の間からにょきっと出ている丸い棒が「ベッティングスクリュー」です。

それが、どこに影響するか、というと、なんと、鍵盤を押したときの「深さ」が変わるんですって。
実際に鍵盤に深さのゲージを当てながらベッティングスクリューを回してみてくださいました。本当に深さが変わるのが分かります。
鍵盤が沈む深さは1cm、これが大きいと、指の力が伝わりにくくて、鍵盤が重いように感じてしまいます。

今回の整調で、細かなパッセージや連打が弾きやすくなったと実感しました。

毎回、詳しく、なぜ、そういう調整をするのか、しくみと共に教えてくださるのが、とっても面白くて、楽器がますます好きになります。
作業に関する写真や動画の撮影も認めてくださって、ここで(正しく受け売りできているかどうか、わかりませんが)紹介できるのも、楽しいことです。

いつも本当に丁寧に整えてくださるので、サロンのピアノは安心してお客様に演奏していただけます。
気持ちの良い音と、繊細なニュアンスが伝わる弾き心地になりました。
ぜひ、らぼポルカのピアノを弾きにいらしてください。
みなさま方のご予約をお待ちいたしております。

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2023-05-22 (Mon)
春の調律、調整の内容を、調律師さんから教えていただきました。
もちろん、いつもの作業は丁寧に進めていただいた上で、今回のスペシャル作業について、です。

「ハンマー接近」の調整。
今回は、鍵盤を押していったときに、ジャックがハンマーを突き上げていって、あるところまで行くと、ハンマーをリリースする、下からハンマーを持ち上げて行っていた「ジャック」という部品が、ハンマーを放り出すようにハンマーから離れるのですが、それを、「ジャックの脱進」とか「エスケープメント」と言います。
その、リリースポイントを調整する作業です。

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またまた、教えてくださったお話そのままですが、ごく近くから壁に向かってボールを投げ当てるときのようすを考えます。
ボールを握って腕を回して行き、壁にどれぐらい接近したところで、ボールを離すか、によって、壁に「コツッ」と当たるか、「バン!」と当たるか、当たったときの響きが変わるはずです。
ここでは、壁が「弦」、ボールが「ハンマー」というわけです。

鍵盤を押したときに、ジャックに押されて上がっていったハンマーが、どれぐらいの位置から自由になって弦に向かって動いて行くか、それこそ、1mmよりも小さな距離の違いでも、タッチの伝わり方や響きが変わってくる、という、本当に繊細な作業です。
上から、ハンマーの動きを確認しながら、「レギュレチングボタン」の位置を器具で回して調整していきます。

いつも思うのですが、この繊細な作業を、88鍵、ひとつひとつ、みな同じになるように、調整していく、って、本当に集中力と根気と両方が必要ですよねえ。「このピアノを最善な状態にしよう!」という、強い意志を持って作業をしていないとキープできないよなあ!と、散漫な私などは、もう尊敬しかありません。

それから、今回、楽しかったこと。
あんなに重いのに!なんと、チューニングハンマーを4種類も、見せてくださり、実際に少し触れせてくださいました。

チューニングハンマー、そろい踏み!
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左から、「イトーシン」「YAMAHA」「ヤーン(ドイツのメーカー)」「ひびきピアノ工房」製 だそうです。
チューニングピンとピンに差し込んだハンマーの「ピタ-ーッッ!」とした「密着具合」が、いちばん右のハンマーは秀逸!!実際に触れさせていただいて、その差に驚きました。一方、ハンドルが短いと微調整はしにくいとのこと。
いま、「ひびき」のハンマーで絶妙なコントロールができるように、ご自身の作業に「馴染ませ中」なのだとか。
職人の世界~~~!ですね。

今回は、自宅の1台とサロンの2台、たっぷり1日がかりの作業でした。
いつも、サロンの大切なピアノを、よい状態に保ち続けることができるのも、調律だけでなく、こうやって定期的に、そして、順次、ピアノの状態を見てくださる方がおられるからこそです。

弾いて、すがすがしく、気持ちのよいピアノです。
ぜひ、サロンに演奏にいらしてください。お待ちいたしております。

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2023-02-23 (Thu)
サロンにスピネットが入って半年、ずっとそこにあったように部屋に馴染んできました。
金属のフレームがあるピアノと違って、スピネットでは細い弦が木の楽器に直接張ってあります。そのため、デリケートに湿度や温度の影響を受けます。演奏前に毎回調弦をするのも、ギターのような弦楽器と同じ、と思えば、不思議ではありません。

暑い夏の時期、寒い冬、1回ずつ通ってきたところで、専門家の方に細かなメンテナンスをしていただきました。

一般的な大きなチェンバロと違って、スピネットではジャックが2本の弦を挟んで向かい合わせに取り付けられています。
1本の弦は弦の左側を、その隣の弦は弦の右側を爪ではじくようになっています。
楽器は気温や湿度の影響で全体が縮んだり膨らんだりするので、弦の位置が全体に左に寄ったり右に寄ったりします。そのため、爪と弦の位置関係が変わってくるのですが、爪が向かい合わせになっているので、1音置きに爪が深く掛かる弦と掛かりが浅い弦とが生じてしまいます。すると、鍵盤を押してジャックが動いたときに弦をはじく力が変わって、音量や音色が1音ごと、交互にデコボコする、ということになります。

スピネット弦と爪

サロンで半年過ごした今では、楽器はサロンの環境に馴染んできて、東京の楽器店で調整してもらったときとは変化しています。
この先もポルカのサロンで過ごしていくこの楽器にとって、良い具合になるように、爪と弦の位置関係を1つずつ、丁寧に調節して整えてくださいました。

また、楽器全体の伸び縮みによって、響板も下がったり上がったりします。
すると、鍵盤の位置とジャックの下端との隙間が小さくなったり大きくなったりして、これは、鍵盤の遊び(爪が弦に当たるまでの鍵盤の押し幅)の変化に繋がります。ただ、そこだけを整えようとすると、ジャックと弦との垂直方向の位置関係にも影響が及んで、ダンパーフエルトと弦との接触のしかたが変化して、残響が出ることもあります。
ピアノと違って、シンプルなしくみで、鍵盤、ジャック、爪、ダンパーフエルト、そして弦の位置関係が決まってくるので、なかなか悩ましいこともあるのだと知りました。いろいろな要素を考えつつ、いちばん納得できる落としどころを探して、1音1音調整していく、何と繊細な作業でしょうか。

いったん弦をはじいた爪は、次の打鍵に備えて、元の位置に戻ってこなければなりません。
削った爪の先が角張っていたり、少し荒れている状態だと、スムーズに下りてこない、ということが起きます。
メスを使って爪の先端を滑らかにします。

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って、この、横の屑を見てください!こんなに少しずつ、滑らかにするんですね!

たっぷりの時間を使って、丁寧に調整を施してくださり、そして、とても分かりやすく説明をしてくださいました。
小さなスピネットに、何だかますます、愛着が湧いてくる気持ちになりました。

オンライン発表会に出るので、バロック曲をピアノとスピネット演奏で、と、当サロンをご利用くださった方もおられます。
ピアノ演奏の研究のために、と、使ってくださる方もおられます。

丁寧に整えられた、愛らしいスピネットを、どうぞいちど演奏してみてください。
ご予約をお待ちしています。

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