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2023-02-23 (Thu)
サロンにスピネットが入って半年、ずっとそこにあったように部屋に馴染んできました。
金属のフレームがあるピアノと違って、スピネットでは細い弦が木の楽器に直接張ってあります。そのため、デリケートに湿度や温度の影響を受けます。演奏前に毎回調弦をするのも、ギターのような弦楽器と同じ、と思えば、不思議ではありません。

暑い夏の時期、寒い冬、1回ずつ通ってきたところで、専門家の方に細かなメンテナンスをしていただきました。

一般的な大きなチェンバロと違って、スピネットではジャックが2本の弦を挟んで向かい合わせに取り付けられています。
1本の弦は弦の左側を、その隣の弦は弦の右側を爪ではじくようになっています。
楽器は気温や湿度の影響で全体が縮んだり膨らんだりするので、弦の位置が全体に左に寄ったり右に寄ったりします。そのため、爪と弦の位置関係が変わってくるのですが、爪が向かい合わせになっているので、1音置きに爪が深く掛かる弦と掛かりが浅い弦とが生じてしまいます。すると、鍵盤を押してジャックが動いたときに弦をはじく力が変わって、音量や音色が1音ごと、交互にデコボコする、ということになります。

スピネット弦と爪

サロンで半年過ごした今では、楽器はサロンの環境に馴染んできて、東京の楽器店で調整してもらったときとは変化しています。
この先もポルカのサロンで過ごしていくこの楽器にとって、良い具合になるように、爪と弦の位置関係を1つずつ、丁寧に調節して整えてくださいました。

また、楽器全体の伸び縮みによって、響板も下がったり上がったりします。
すると、鍵盤の位置とジャックの下端との隙間が小さくなったり大きくなったりして、これは、鍵盤の遊び(爪が弦に当たるまでの鍵盤の押し幅)の変化に繋がります。ただ、そこだけを整えようとすると、ジャックと弦との垂直方向の位置関係にも影響が及んで、ダンパーフエルトと弦との接触のしかたが変化して、残響が出ることもあります。
ピアノと違って、シンプルなしくみで、鍵盤、ジャック、爪、ダンパーフエルト、そして弦の位置関係が決まってくるので、なかなか悩ましいこともあるのだと知りました。いろいろな要素を考えつつ、いちばん納得できる落としどころを探して、1音1音調整していく、何と繊細な作業でしょうか。

いったん弦をはじいた爪は、次の打鍵に備えて、元の位置に戻ってこなければなりません。
削った爪の先が角張っていたり、少し荒れている状態だと、スムーズに下りてこない、ということが起きます。
メスを使って爪の先端を滑らかにします。

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って、この、横の屑を見てください!こんなに少しずつ、滑らかにするんですね!

たっぷりの時間を使って、丁寧に調整を施してくださり、そして、とても分かりやすく説明をしてくださいました。
小さなスピネットに、何だかますます、愛着が湧いてくる気持ちになりました。

オンライン発表会に出るので、バロック曲をピアノとスピネット演奏で、と、当サロンをご利用くださった方もおられます。
ピアノ演奏の研究のために、と、使ってくださる方もおられます。

丁寧に整えられた、愛らしいスピネットを、どうぞいちど演奏してみてください。
ご予約をお待ちしています。

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2022-11-02 (Wed)
まもなく、らぼポルカのピアノサロンはオープン5周年となります。
2台のグランドピアノも納入から5年、ということで、今回の整調では鍵盤をぜーんぶ外しての、いつもにも増して念入りな作業をおこなってくださいました。

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鍵盤は、バランスキーピンと前のフロントレールピンにはめ込まれています。
バランスキーピンが支点となって、シーソーのように動くしくみです。

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これらのピンの金属表面に少しずつざらつきが出て来ると、鍵盤の穴や、鍵盤の穴の内側に巻いてあるブッシングクロスとの滑りが変化してきます。手入れをしないと、タッチに影響が出ることがあります。
そこで、このピンを1本1本、磨いてくださいました。

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さらに、鍵盤の奥にあるキャプスタンボタンとアクション下部のサポートヒールクロスが接触して、鍵盤の動きがアクションに伝わります。その接点であるキャプスタンボタンの表面も、ざらつきが生じるとタッチが変化する、とのことで、一つ一つ磨いてくださいました。

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また、鍵盤を外したので、鍵盤の下のホコリを取り除くなど、掃除もしてくださいました。

実は、打鍵していないときに鍵盤の奥が乗っかっているバックレールクロスという緑色のフエルトの上のホコリを取ると、鍵盤の奥が取り除いたホコリの厚み(といっても実にわずかだけですよね!)の分だけ下がって止まります。そうすると、シーソーの反対側、つまり、鍵盤の手前はほんの少しだけ上がって止まる、ということになって、鍵盤の高さが均一ではなくなります。だから、掃除をすると、改めて鍵盤ならし(高さを揃える)が必要になります。

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というわけで、鍵盤ならしも丁寧にしてくださいました。

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もちろん、長く放置してあったピアノとは違うので、それぞれ、ほんの少しの手入れや調節なのですが、定期的にやっていくことがどんなに大切かがよく分かります。
いつも、丁寧に説明してくださるので、とっても興味深く、勉強になります。このブログ記事は教えてくださった内容の「復習」です。

毎回、テーマを決めて、必要なメンテナンスを順繰りにおこなっていってくださるので、ピアノはよい状態を維持できていて、気持ちよく演奏できます。

芸術の秋、コンサートに向けて、2台ピアノの合わせに使ってくださったり、指揮者の方との打ち合わせに使ってくださったり、と、ピアニストの方々に練習場所として選んでいただけることは、本当に、ありがたいことです。
また、コンクール予選の演奏動画撮影や、コンクール前の集中練習に使ってくださったり、ここのピアノなら、と、ポルカを選んで使ってくださるのも、本当に嬉しく思います。
かわいらしくドレスアップしたお子さまを主役に、楽しいファミリーコンサートの時間をお過ごしになったご家族もいらっしゃいます。

秋の調律・整調で、音色もタッチもすっきり整いました。
また気持ちよく合わせていただけると思います。

サロンに新しく入ったかわいいスピネットチェンバロもご利用いただけます。
引き続き、KOBEらぼ♪Polka ピアノサロンをよろしくお願いいたします。
ご利用を心よりお待ちいたしております。


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2022-09-28 (Wed)
スピネットの準備が整いました!
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ピアノと同じ専用予約サイトから、ご予約いただけます。
スピネット、または、スピネットとピアノ1台 のメニューをお選びください。

楽器については、こちらの記事もご覧ください!
スピネットがやってきました!

小さな楽器の鍵盤をそっと押すと、思いがけず、ハリのある意外に大きな音が広がって、おおっ!と感じていただけること請け合いです。あとは、ピアノとは違った世界に浸る時間を、ぜひ、お楽しみください。

ご利用をお待ちいたしております。


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2022-08-30 (Tue)
ピアノサロンに愛らしい姿のスピネットがやってきました!

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NEUPERT(ノイペルト)社で1957年に作られた、ヴィンテージ・スピネットです。

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スピネットは小型のチェンバロ。
単弦の1段鍵盤、音域は4オクターブ半の小柄な楽器ですが、爪が弦をはじく感触と音色は、本物ならではです。

このスピネット、ドイツから日本にやってきて、NEUPERT特約楽器店で大切に展示されていました。
このたび、らぼポルカのサロンに入れるにあたって、日本のチェンバロ修復では第一人者である、
池末 隆 氏 に、「修復」という域を遥かに超えた、楽器の「底上げ」作業を入念に施していただくことができました。

鍵盤を磨き、ジャックひとつひとつをていねいに整え、弦をすべて磨き、全体のタッチを調整し…といった作業だけでなく、
しなりを出すために、すべての鍵盤の裏をかんなで削っていく、という、楽器そのものの潜在能力を高め、良さを引き出す、
池末さんだからこそ可能な工程を丹念におこなってくださいました。
65年の時を経て、ハリのある伸びやかな音色の楽器になりました。

コンセプトは、「ピアノ演奏者のためのスピネット」です。
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ピアノで練習したこの曲をチェンバロで弾いてみたい!
チェンバロだったら、ココはどんな表現になるんだろう。
たくさん練習したバッハ、チェンバロで仕上げ録音なんてどうかしら。
…ピアノ演奏者の方の、そんな願いに、ささやかでも応えたい。
電子楽器とは違う、生の楽器に触れる体験を通して、表現を深めたり、弾く楽しみを広げたり。
スピネット体験が、また、ピアノの喜びに返ってくるように、という思いで、この楽器を選びました。

しばらく、準備期間をいただきます。
10月ごろには、ご予約ができるようにしたいと考えています。
どうぞ、楽しみにお待ちください。

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2022-05-01 (Sun)
2017年12月に、KOBEらぼ♪Polka の ピアノサロン がオープンしました。
開業祝に、といただいた、「作曲家トランプ」(東京芸術大学発の「ショスたこ」というグループが出している品です)がうれしくて、このトランプから毎月1枚を取り上げて、「今月の作曲家」というポスターを作って、サロンの外掲示板に出そう、と決めたのです。

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2017年12月「ベートーヴェン」から始めて、2022年5月「ハイドン」で、トランプ全54枚のカード、掲載が完結しました!
54ヶ月、4年半です。

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開業の時に、「今月の作曲家」でこのトランプを全部掲示するまで、ちゃんと頑張ろう、と思って、それがひとつの目標になりました。
コロナ禍となり、自由に楽しい音楽のイベントや弾き合い会などを催すこともできなくなり、主に練習利用や演奏動画撮影、録音などにご利用いただきながら続けてまいりました。
この間、どなたに弾いていただいても、気持ちよく演奏いただけるように、と、ピアノの状態には気をつけて、維持してきました。
おかげさまで、ステージで活躍しておられる演奏家の方や、大切なコンクールのための練習にも、ご利用いただけるサロンになりました。落ち着いて2台ピアノやアンサンブルの合わせ練習ができる、とのお声も戴いています。また、地域の方々が、心地よい音楽の時間を過ごす場として、繰り返し利用してくださるようにもなりました。

トランプ掲示を完結できたのは、サロンをご利用くださるみなさま方のおかげです。
ほんとうにありがとうございます。

今後とも、KOBEらぼ♪Polka ピアノサロン を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ご利用を、お待ち申し上げております。

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