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2023-10-30 (Mon)
今日は、専門家の方に、スピネットの整調に来ていただきました。
季候の良い時期にメンテナンスを、というのは、デリケートなスピネットなら、なおさらです。

メンテナンスの日は、半分は、チェンバロ整調教室、といった様相です。
ほんとうに丁寧に、分かりやすく教えていただけるので、ありがたいです。
ピアノと違って、この楽器は日常的に自分で調弦もしますし、本来、メンテナンスもできる範囲で自分でやっていく、という楽器です。
少しずつ、できることを増やしていけるように、そして、楽器の調子を自分でちゃんとキャッチできるように、楽器への理解を深めるためのとても大切な機会になっています。

鍵盤の「かたさ」の違いと、鍵盤の「遊び」のばらつきが気になっていました。
でも、まず、指摘があったのは「残響」です。

ジャックはダンパーフエルトで弦に乗っかっていて、いわば、「ぶら下がり」の状態になっています。
鍵盤の表面とジャックの間には隙間があるはずなのですが、ジャックの長さが長いと、ジャックの下側が鍵盤につっかえるようになります。すると、ダンパーフエルトがしっかり弦に当たらないでわずかに浮いている状態になるので、弦の音がきちんと止まらず、残響が長くなってしまいます。そのとき、鍵盤の「遊び」は少なくなってしまっています。

 ダンパー

弦にジャックがちゃんと「ぶら下がり」になっているかどうかは、弦を直接、棒などでちょっと押し下げてみると分かります。弦を下げているのに、ダンパーフエルトが一緒に動かなければ、ジャックが下でつっかえている証拠です。
ジャックの長さを短く調節すると、鍵盤の「遊び」が大きくなり、残響も起こらなくなります。

IMG_6767_R.jpeg 鍵盤の遊びが揃う

まず、調律。調弦が正しくない状態で他を調節しても、調弦すると狂うので、まずはきちんと調弦が最初にやることです。
つぎに、鍵盤の「かたさ」、つまり、爪が弦をはじくときのかたさ、なのですが、それを、爪の出し方や削り具合でそろえます。
そのあと、残響と鍵盤の遊びを揃えます。
順番があるんですね。順番を間違えると、先にやったことを、またやり直さなくてはならなくなります。
昔、おばあちゃんに教わった、掃除の順番と似ている気がします。

気温が下がってきて、ジャックの表面に塗ってあるグリースのようなもの(何が付けてあるのかは不明)が固くなって、ジャックの上下がほんの少しスムーズではないようすが見られたので、ジャックを1本1本丁寧にぬぐってくださいました。演奏しているときには分からないような変化も、こうやって気づいたときに手当てしておくと、影響を抑えることができるのだそうです。

1音だけ、初めて、プレクトラム(爪)の交換もしてくださいました。
何度も弦をはじいていると、だんだんと爪が反って来るのだそうです。
小さな変化を見逃さずに、そのときそのときに、ひとつずつ手当てをしていく、という、楽器との繊細な付き合い方。
ちょっとした手当で、鍵盤の感触や音が大きく変化する面白さ。
教えていただいて、自分でもやってみて、だんだんじわじわと、また、楽しくなってきています。

丁寧に整えていただけました。
指に伝わる感触や身体に伝わってくる音は、小さな楽器でも、本物ならではです。
どうぞ、愛らしいスピネットを演奏してみてください。
ご予約をお待ちいたしております。

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2023-10-26 (Thu)
季候のよい時期になったので、ピアノのメンテナンスを行いました。
調律と整調、2台で4時間半、たっぷりかけて、丁寧にみていただけました。

ウォルナットのC2CPは、本当に安定していて、狂いが少ないとのこと。
先日も、公演前の指ならしに弾いてくださったピアニストの方に、「よい状態のピアノで、いい音で、良い練習ができました。」と、言っていただけたC2CPです。きっと、楽器として、安定したよい時期なのでしょう。弾いて気に入ってくださる方が多くて、嬉しく思っています。

酷暑の夏場、サロンの防音室内の温度・湿度はできるだけ保つようにはしていたのですが、それでも、楽器には厳しい夏で、C3Xはちょっと気になるところが出てきたため、夏にいちど、調律をしていただきました。それからまだあまり経っていないのですが、やはり、ピアノのメンテナンスは季候の良い時期にしておきたい、ということで、今回も、2台ともみていただくことにしました。

メカニックな部分は、使っていると、どうしても緩んでくるものです。例えば、「ペダルのあそび」。少し大きくなっていたということで、適切な量に調整してくださいました。

いつもの3弦合わせやハンマーの間隔、ハンマードロップ、などの調節。
正しい位置関係にあるからこそ、弦とハンマーがかみ合って良いタッチ、よい音になる、ということで、ハンマーの並びの美しさや、ハンマーに付いた弦の3本の跡がまっすぐに皆同じ位置に付いている美しさ、よく調節された楽器は、部分部分も美しいのだということが分かります。

IMG_6718_s_R.jpeg IMG_6718_s2_R.jpeg

そして、今回のテーマのひとつは、ハンマーの動きのなめらかさの加減です。
ハンマーを支えている長い棒を「ハンマーシャンク」といいます。付け根が関節のようになっていて、ハンマーが動きます。

IMG_6703_R.jpeg IMG_6705_R.jpeg

その、関節部分をとめているピンを「シャンクフリンジセンターピン」と呼ぶのですが、周りに赤いフエルトがあって、このフエルトが膨らんでいると、関節の動きがかたくなり、鍵盤が重い、と感じてしまいます。
この関節の動きが全て揃っていると、持ち上げたハンマーから手を離したときに、パタン、と、揃って落ちていきます。

IMG_6709_R.jpeg IMG_6708_R.jpeg

ところが、ちょっと動きが遅れるハンマーがあれば、フエルトとピンの滑りがわずかに悪いのです。
そこに、特別な液を注入して、動きを整えていきます。

IMG_6707_s_R.jpeg

調整後には、鍵盤のどの位置でも、隣り合ういくつかのハンマーが、パタン、と同じ速さで落っこちていくのが見事です。

この、フリンジ(関節部分)の抵抗が、ありすぎると鍵盤が重いのですが、なさ過ぎても、つまり、スルスル動くのが良い、というわけでもないそうで、適度な抵抗(3gに整える、とのこと)が必要なのだそうです。
写真のようにぶら下げて振ったときに、3往復ぐらいで止まるのが具合のいい抵抗、とのことです。

shank flange

そういうことが、打鍵のニュアンスを伝えることに繋がってくるんですねえ。

さらに、こちらはアクションの裏側。グランドピアノのアクションは「筬(おさ)」という塊になっていて、ごっそり引っ張り出すことができます。その、裏側です。

IMG_6715_R.jpeg IMG_6713_R.jpeg

丸いボタンのような金具が飛び出しています。7つあります。
筬(おさ)は、この金具と奥と手前との3カ所で、棚板の上に乗っかっていて、他の部分は浮いています。
湿気や気温の違いでピアノは伸びたり縮んだりするので、棚板が下がっていると、この金具がきちんと棚板に触れていなくて隙間ができることがあります。この金具の出っ張り具合をアクションの上側に出ている「ベッティングスクリュー」で調節します。ダンパーペダルを踏みながら、コンコン叩いてボタンが棚板に当たる音がしない位置に調節するのだそうです。

IMG_6716_s_R.jpeg
鍵盤の間からにょきっと出ている丸い棒が「ベッティングスクリュー」です。

それが、どこに影響するか、というと、なんと、鍵盤を押したときの「深さ」が変わるんですって。
実際に鍵盤に深さのゲージを当てながらベッティングスクリューを回してみてくださいました。本当に深さが変わるのが分かります。
鍵盤が沈む深さは1cm、これが大きいと、指の力が伝わりにくくて、鍵盤が重いように感じてしまいます。

今回の整調で、細かなパッセージや連打が弾きやすくなったと実感しました。

毎回、詳しく、なぜ、そういう調整をするのか、しくみと共に教えてくださるのが、とっても面白くて、楽器がますます好きになります。
作業に関する写真や動画の撮影も認めてくださって、ここで(正しく受け売りできているかどうか、わかりませんが)紹介できるのも、楽しいことです。

いつも本当に丁寧に整えてくださるので、サロンのピアノは安心してお客様に演奏していただけます。
気持ちの良い音と、繊細なニュアンスが伝わる弾き心地になりました。
ぜひ、らぼポルカのピアノを弾きにいらしてください。
みなさま方のご予約をお待ちいたしております。

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